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ヴァン・モリソン~Van Morrison ディスコグラフィー3 [Van Morrison]

ヴァン・モリソンのディスコグラフィの第1弾第2弾につづく第3弾です。

※RC…レコード・コレクターズ1991年3月号、ST…ストレンジ・デイズ2008年5月号。
※個人的評価は、
★★★★★ 歴史的名盤
★★★★   傑作
★★★    好盤
★★      ヴァン標準
★       ヴァン標準以下
として、やや辛口目に採点しますが、今後、聴き込んでいくうちに評価が変わるでしょうし、僕のコメントにもちょくちょく修正・補足等が加わるということをご了承ください。

「Veedon Fleece~ヴィードン・フリース(1974年)」

ヴィードン.jpg

<ヴァン・モリソンは音楽的にも精神的にも常に闘い、前進しようとしている人だが、73年の「苦闘のハイウェイ」で見せた、解り易さへのアプローチはややイージーだった。結局、その万人受け狙い(?)は成果も上がらず、本人もその非を認めたのか、74年にはライヴ盤を発表し、流れを一度断ち切って、この「ヴィードン・フリース」で再び自己を掘り下げ、魂もまた叫び始めるのである。
アルバムはスウィング感たっぷりのA1(①)からスタートするが、どの曲も4リズムを基本とした、極めてシンプルでオーソドックスな演奏ばかり。だが、彼の闘争心がバンドを刺激し、結果としてサウンド全体に高いテンションと新しい響きが備わってきている。時おりストリングスやリコーダーが付け加えられるが、それらは効果的にヨーロッパ的陰影を醸し出す(B5(⑩)のリコーダーはヴァンにしては珍しくトラッド風味だ)。いずれにしても、各曲の中心は当然のことながら彼の歌であり、その荘重かつ激しい表情のめまぐるしい変化に各楽器の体温が見事に追随している様は聞いていて痛快ですらある。
ファルセット・ヴォイスやギターのハイ・ポジションが聞こえてくるA3(③)は盟友、ザ・バンドを思わせる。リズムを取り去ったかのようなB4(⑨)は彼にしては珍しい曲である。表面的には地味かもしれないが、実に深い味わいが潜んでいるアルバムだ(小林慎一郎・RC)>
<ヴァンが見せる穏やかな情景は、それもまた内部の精神の葛藤の表現と相まって、静かな迫力を感じさせる。彼が74年にライヴ・アルバム「魂の道のり」で一つの区切りをつけ、新たに自己と向かい合ったような印象を見せる「ヴィードン・フリース」は74年10月に九枚目のアルバムとして発表された。製作の発端は73年10月の故郷アイルランドへの旅。そこでのインスピレーションが反映され、レコードではA面の①~⑤では、彼自身の回想と夢想、そして神秘への探索が歌われている。とりわけ一曲目のジャズ・ワルツが魅力的。ストリングスやフルートも交え、アコースティックに彩られたバッキングに、彼の歌が熱く映える。レコーディングは74年にカレドニア・ソウル・エクスプレスを従え、ロンドンからダブリン、ヨーロッパ、アメリカと続くツアーの合間を縫って行われている。この後、彼は重度の麻薬中毒となり、しばらく北アイルランドでの療養生活を余儀なくされる(後藤秀樹・ST)>

[目]
前作「苦闘のハイウェイ」でヴァン・モリソンの「カレドニア・ソウル」の一つを完成させたかと思いきや、そこから再び逸脱する異質な作品でありながらも、ファンの間では「傑作」と誉れ高いアルバムです。
ホーン・セクションをなくし、アコースティック楽器中心にストリングスが絡み、どこかジャズ風な音作りで、ヴァンの生々しいヴォーカルが聴かれます。感触は「アストラル・ウィークス」に近いのですが、そこで見られた即興的な緊張感は(良くも悪くも)なく、シッカリと作り込まれています。
「アストラル・ウィークス」の欄で、「ヴァンの別面というよりも重要な要素」と書きましたが、「アストラル・ウィークス」や本作の評価が高いのは、ファンもヴァンの表の顔「カレドニア・ソウル」だけでなく、こうした裏の顔が出てくる瞬間をどこかで期待しているのかもしれません。
ただ、そうした「アストラル・ウィークス」のような異質感を醸し出しているのは、レコードでいうA面の①~⑤であって、B面はむしろ、どこか「テュペロ・ハニー」のようです。
いずれにせよ、アイルランドへの帰郷が本作に大きな影響を与えたことは間違いないでしょうし、実際、最終曲では初めて(?)アイリッシュのトラッド風のアレンジ(フルート)が聴かれます。。

個人的評価 ★★★★

「A Period Of Transition~安息への旅(1977年)」

安息.jpg

<“変遷の終わり”という意味深いタイトルを冠したこのアルバムは、前作「ヴィードン・フリース」から3年近くもの歳月を経て発表された。ほぼ1年毎のペースでコンスタントに新作を出してきたヴァンにとっては、異例の沈黙期間だが、その理由として、あまりにビジネス・ライクな音楽業界のシステムにうんざりしていたことが後年彼の口から語られている。表立った活動を一切控え、自分自身の生活を崩さなかったことは、恐らく彼の内側に新たな感情を呼び起こしたはずだ。
ドクター・ジョンことマック・レベナックとヴァンの二人によるプロデュースで進められたレコーディングは、曲の完成度よりもこのセッションの勢いと瞬発力を詰め込むことに力を注いでいるようだ。蓄積したエネルギーを一気に吐き出したヴァンの図太いヴォーカルを、レギー・マクブライドとオリー・E・ブラウンによるタフなリズム・コンビがガッチリと受け止めていることに驚かされる。歌とバックの関係が、かつてなかったほど大胆で、頼もしくなっているのだ。ドクター・ジョンの喜々としたピアノも伸びやかに泳ぎ回っているし、ホーンズの押しも気分を盛り上げてくれる。同時期にはロッド・スチュアートの「アトランティック・クロッシング」やフランキー・ミラーの「ハイ・ライフ」といった名作も生まれているが、それらと並ぶヴァン渾身の力作だと今でも僕は思っている。それにしてもB3(⑥)の疾走感は圧倒的だ(RC・小尾隆)>
<前作から三年の間をおいて発表された77年の十作目。彼の長いキャリアの中でも異例のリリース間隔だ。“変遷の終わり”というタイトルから、今でも彼の変化の象徴的な作品と受け止められている。共同プロデュースにドクター・ジョンを迎え、バックのメンバーも一新。英国録音ながら米国ミュージシャンを迎えるというこだわりも面白い。ニューオーリンズのソウルがヴァンの歌声と一体化して新たな魅力を生んでいる(ST後藤)>

[目]
ドクター・ジョンと組んだことによって、必然的にアメリカ南部音楽へと傾倒するサウンド&楽曲である。
後にポール・ウェラーやエルヴィス・コステロがアメリカ南部音楽にどっぷりと浸かったロックを披露し、「スワンプ・ロック」ともてはやされたが、ここでのヴァンは「スワンプ・ソウル」とも言うべき、泥臭いサウンド&楽曲が展開されている。
もちろん、黒人音楽フリークのヴァンなら、ここまで掘り下げることは必然とも言えるのですが、これまで培ってきた「カレドニア・ソウル」との距離は何なのかという気もする。まあ、音楽的探究心の強いヴァンですし、彼の長いキャリアにおいては、こうした作品が1枚くらいあっても良いと思いますけど、個人的には、あくまでも寄り道という扱いで、決して初心者が最初に聴く1枚ではないでしょう。

個人的評価 ★★☆

「Wavelength~ウェイヴレングス(1978年)」

ウェイヴ.jpg

<常に全身全霊を歌に傾けているといっても決して過言ではないヴァンにとって、充実とはなんだろうか。と、ふと考えてしまったりした。バックの演奏はゆったりとした空気を漂わせながら、ヴァンの高いテンションを暖かく包んでいるようだ。
78年の作品。ザ・バンドの「南十字星」と同じシャングリ・ラ・スタジオでの録音。プロデュースはヴァン自身である。
ゼム時代の仲間のピーター・バーデンズとガース・ハドスン、ふたりのキーボーディストの好サポートが光っている。「テュペロ・ハニー」の頃にも通じる軽快な渋みを感じさせるA1~3には、すでに、ヴォーカリストとして一つの高みを体験した者のみが放てる明快な光がある。セカンド・ライン風のリズム・セクションにピーターのハモンドとガースのアコーディオンが美しく絡むA4は、常に新の自分を求めてやまないヴァンにとっての“ゴスペル”のように思える。ちょっと「キャラヴァン」に似たメロディを持つA5や、鋭いギター・ソロも登場するアルバム・タイトル曲B1(⑤)でも自己の内部の葛藤の後の充実感うかがえる。
ジャッキー・デ・シャノンとヴァンの共作によるB2(⑥)や、8分余にわたる大作B4(⑧)ような朗々たる歌世界には、まず没入する以外にない。“変節の時は過ぎ、自らの光明を見出した”と歌われるB4(⑧)に至るまでのヴァンの心の内を思うと、どうしても胸は熱くなる(RC・湯浅学)>
<78年の作品。米西海岸マリブのシャングリラ・スタジオでの録音。前作とは逆に、今度は旧知の英国ミュージシャンが中心となってバックを務めている。特にゼム時代のピーター・バーデンスとザ・バンドのガース・ハドソンという二人のキーボードによる音の厚みは素晴らしい。また、マネージメントをビル・グラハムの会社へと変えている。そのせいか、実に軽快で気持ちのいい曲が並び、明るい印象の作品となっている(ST・後藤)>

[目]
「明るい印象」と言えば聞こえは良いが、本作をズバリ一言で言うなら、ジャケット・ワーク同様、「軽い」のだ。
後に記す「ポエティック・チャンピオンズ・コンポーズ」のレビューで、「今なお鑑賞に耐え得る音楽というのは驚くほど少ないのだが、ヴァンのアルバム群は数少ない例外の一つ。これも流行のサウンドやアレンジには色目を使わずに、ひたすら自己探求のみを行ってきた彼ならではのことだろう」とあるが、本作で耳に付くのは、当時の「流行のサウンドやアレンジ」に色目を使ったとしか思えない、今となっては古臭いシンセ音アレンジである。そして、当時、流行っていたレゲエも取り入れている。まあ、取り入れるのはよいのだが、アルバム冒頭から「軽い」と感じてしまったために、それもまた流行に色目を使ったのでは、と勘ぐりたくもなる。
そう、悪く言えば、今さらポップ・スターでも目指したのか!?と思えてならない。
レコード会社やマネージメントに唆されたのかとも思いますが、プロデュースはヴァン自身…。
アルバムを通して聴けば、曲自体は良いものもあるのだが、そう感じてしまったため、当初は最後まで聴く気すら起きなかった。

個人的評価 ★

「Into The Music~イントゥ・ザ・ミュージック(1979年)」

イントゥザ.jpg

<熱心なファンならご存知のようにリッチー・ヨークによって書かれたヴァン・モリソンの本のタイトルは、本作と同名の「イントゥ・ザ・ミュージック」だった。
音楽に魂をこめ続ける彼を表現するのに、最もふさわしい言葉だろう。そしてこの79年秋に発表されたアルバムも。実にこの言葉がしっくりとしてくる味わい深い作品となっている。“暗い街から飛び出して/日の当たる道で/もう一度恋人同士になろう”と、いつになく軽快な調子で呼びかけるオープイング・ナンバーが、まずこのアルバムを象徴する。
前作がシンセなどを使っていたのに比べると、ここでは殆どがオーソドックスな楽器でしめられ、しかも彼本来の歌の世界となっている。しかし70年代と違うのは、彼の内面的な世界を求めていっている店だ。
1曲目で通りに飛び出そうと呼び掛け、B2(⑧)ではそれが心を癒すためなのだと語りかける。もちろんここで熱心な聞き手は、彼の麻薬中毒の治療や自身のなかに抱えた神の世界との対話などを意識せざるにいられないというわけだ。彼が発表したなかでも最も自伝的な色彩の濃いアルバムだけに、好きなんだけれどいまだに聞くのがツラい瞬間のある作品。
A2(②)でライ・クーダーが参加してスライド・ギターを披露しているが、キャティ・キッスーンのサイド・ヴォーカルもいい(RC・大鷹)>
<奇しくもリッチー・ヨークが書いたヴァン・モリソンの本のタイトルと同じ「イントゥ・ザ・ミュージック」は79年の作品。前作にも似た明るさが特徴だが、ヴァイオリンやスライド・ギター、ペニー・ホイッスル等の楽器が活躍する様はトラッド風味を漂わせ、ホーンのアレンジは70年代前半の雰囲気を思い起こさせる。しかし、歌の中身は、曲調とは裏腹に自分自身の内側の葛藤と痛みを感じさせ、結構重くつらいものがある(ST・後藤)>

[目]
前作の「売れ線」路線でコケたことにウンザリしたのか、再び、ヴァン・モリソン’sソウル・ミュージック「カレドニア・ソウル」へと戻ってきました。
寄り道をしましたが、73年の「苦闘のハイウェイ」からの系譜を繋げました。
「俺のやりたいようにやらせろ」と作ってみたら、ヴァン・モリソンの集大成ともいえる完成度を誇ると共に、「売れ線」を狙った前作以上に、ある意味ではポップで売れるアルバムにすらなっています。
後のヴァンの代名詞とも言える洗練された高品質のソウル・ミュージックの完成形とも言えるものですが、当時は若さの勢いと円熟味の味わいを備えたちょうど良い絶妙の熟成期だったのかもしれません。
後の高品質の作品群がソウル基調一辺倒(?)になるのに対して、本作ではトラッド色も存分に取り入れているため、アルバムにメリハリがあって、初めて聴いても耳を奪われると共に聴いていて飽きさせません。
ただし、軽快でキャッチーな楽曲が並ぶ前半と打って変わって、後半は長く深いスピリチュアルな世界が広がり、この辺が次作に繋がるのでしょうが、これにもまた惹き込まれます。
これまで、初めて聴くなら「ムーンダンス」か、「アストラル・ウィークス」との同時聴き、最高なのは「ベスト・オブ・ヴァン・モリソン」と記してきましたが、本作もそのリストに加えられる、アーティスト、ヴァン・モリソンの一つの到達点。

個人的評価 ★★★★★

ヴァン・モリソン ディスコグラフィ
第1弾 第2弾 第4弾 第5弾 第6弾 第7弾 第8弾 第9弾
おまけ
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